大好きな愛猫とはいえ、猫の爪とぎはなかなか飼い主さんを悩ませる問題行動の一つだと思います。この猫の爪とぎの対策や改善方法や手術など色々ありますが、猫の爪とぎには、猫にとって重要な役割があるのをご存知でしょうか。今回はなぜ猫がそもそも爪とぎをするのかに焦点を当てご紹介したいと思います。
猫の爪とぎとは
猫の出し入れできる鉤爪(かぎづめ)は、イエネコを含めた猫科動物の最大の特徴の一つと言われています。ですから、その特徴である鉤爪は、決して簡単に抜いてしまうわないようにしてください。
猫の爪の根源となる歴史とは?
猫の爪の歴史は、祖先のミアキス(写真上)の仲間まで遡ります。ミアキスは、約6,500万前〜4,800万年前に生息した小型捕食です。猫科、犬科、熊科などすべての肉食の哺乳類の祖先と呼ばれている。彼らの中には、地上の生活に移ったもの、地上と樹上の両方で暮らすものが現れました。やがて、鉤爪の鋭さを守るため、普段は爪をしまい、樹に登る時や獲物をつかまえるときなど、鉤爪を出して使うようになりました。
山猫に似たマダカスカルのフォッサは、鉤爪を半分だけ引き込めることができます。この段階を経て、今のような鉤爪に至るという有力な説があります。
猫の爪とぎの意味とは
猫の爪とぎにはいくつかの意味があります。爪とぎの第一の目的は、薄い層が重なってできている爪の一番上を剥がすことができます。猫は先端の尖りが鋭くなると剥がし、下の鋭い層を出します。爪のもとにある肉球には汗が分泌され、ニオイ物質が含まれています。爪とぎの際に、匂いが樹の幹などにつくため、猫の鋭い嗅覚があれば縄張りのマーキングに役立ちます。
猫の爪とぎは、視覚効果と匂いを生み出す
この行動には、においが強く残りません。尿などによるマーキングより効果は、弱いです。しかし、茎に残る傷には、他にもメリットがあります。例えば、茎に残る傷には視覚効果があります。傷が高いところにあえば、大きな個体が付けたものに違いないからです。猫自身を大きく見せる意図があるのか、一般に猫は出来るだけ背伸びをして高いところで爪とぎをしようとします。
家で行う猫の爪とぎは、本当の爪とぎではない
猫の爪とぎには他の意味もあります。猫が獲物を取り損なった際に、猫は気を紛らすやイライラの転移行動をすることもあると言われています。それが猫の爪とぎなのです。例えば、家庭の猫が何かを行っていたとします。これを中断させられたりすると、猫は爪とぎをするそぶりを見せることがあります。そして、ソファーや家具などに低いところでする爪とぎは、本来の目的である爪とぎと乖離したものの可能性があります。ご家庭で猫を飼っている場合は、ぜひ確認してみてください。
鉤爪の構造や爪とぎの6つの役割とは?
猫の爪は、写真のようになっています。猫は、まず腱(すじ)を動かすことで爪を足の趾(ゆび)に出し入れできます。他の動物と比較すると、例えば犬の場合ですと、鉤爪は出っぱなしになります。しかしながら、猫の場合は、2本の腱によってゆびの中に爪をしまうことができるのです。これは猫の大変ユニークな特徴だと言えます。
ちょっとわかりにくいかと思いますが、爪の変化を見てください。下記の構造のように猫の爪は上下します。
次に猫の爪とぎの6つの役割を紹介します。
爪とぎの役割①新陳代謝を促進
猫の爪とぎは、一番上の層の古い爪を剥がし、新しい爪を出すために行います。これにより、新陳代謝が促進されるのです。
爪とぎの役割②マーキングの効果
猫の爪とぎは、研いだ傷跡とにおいでマーキング効果があります。猫の匂いを残す目的でもあります。
爪とぎの役割③ブラッシングの効果
猫の爪とぎは、舌が届かない場所、趾と爪がブラシ代わりに機能します。ですので、猫の爪とぎは清潔さにも重要な役割なのです。
爪とぎの役割④木登り
猫の爪とぎは、木登りするときに役立ちます。猫は上手に木登りをしますよね。木登りするときには、爪を茎にひっかけて登るから上手なのです。
爪とぎの役割⑤ケンカ
猫の爪とぎは、爪を立てて相手をひっかくことができます。喧嘩の際にも良く行われます。これにより相手を攻撃することが容易になります。
爪とぎの役割⑥転移行動
猫の爪とぎは、猫が目的を失敗したあと、イライラなど心を落ち着かせるために行うことがあります。
猫の爪とぎのまとめ
猫の抜爪手術は、海外で当たり前のように行われているようです。しかし、猫の爪とぎには、いくつかの役割やメリットがあります。この役割は、猫にとって重要な習性とも言えます。そして、家猫を含めた猫すべてにおいて、猫の爪とぎはユニークで重要な特徴なのです。飼い主さんにとって気になるようであれば、抜爪手術などの対策がありますが、まず愛猫にとってのメリット・デメリットを把握して、適切に対策や改善方法を導いてあげるといいのではないでしょうか。猫の爪とぎ理由を理解して、愛猫との生活に少しでも参考になればと思います。