はじめに:なぜ「アメリカのペットフード」が注目されているのか?
日本のペットオーナーの間で近年注目を集めているのが、「アメリカ製のペットフード」。
その背景には、高品質・厳格な基準・多様なニーズに応える商品展開などが挙げられます。
アメリカは世界でもトップクラスのペット大国であり、ペットフード業界はまさに巨大な一大産業として成熟しています。
この記事では、アメリカのペットフード事情を市場データから解説し、日本市場との違いを明らかにしていきます。
1. アメリカは「ペットフード消費世界一」の巨大市場
アメリカのペット関連市場は、2023年時点で1,370億ドル(約20兆円)以上とされており、そのうちペットフードだけでも500億ドル超が占めています(APPA調べ)。
この数字は、日本市場(約6,000億円)の実に3倍以上にのぼります。
主な市場の特徴
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犬・猫だけでなく、ウサギ・鳥・爬虫類など幅広いペット対象
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フードは「ドライ」「ウェット」「フリーズドライ」「生肉タイプ」など形状も多彩
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サプリメントや療法食などのヘルスケア系商品も多い
▶ 米国は量だけでなく「多様性」「機能性」も重視されたフードが主流です。
2. アメリカにおけるペットフードの価値観:「家族の食事」としての意識
アメリカでは、ペットを「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と位置づける文化が深く根付いています。
そのため、人間と同じレベルでの食の安全性や栄養価が求められています。
アメリカでのペットに対する考え方
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「ペットも家族と同じ」と考える人が7割以上(Gallup調査)
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手作りフードやオーガニックフードのニーズが拡大中
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アレルギー・グレインフリー・ヴィーガン対応なども
▶ もはやペットの食事は「餌」ではなく、「食事」や「医療」の一環として位置づけられているのです。
3. 米国ペットフード市場のトレンド(2020年代以降)
アメリカのペットフード業界には、近年以下のような明確なトレンドがあります。
● ヒューマングレードの台頭
「ヒューマングレード」とは、人間が食べられるレベルの食材で作られたペットフードを指します。
特に都市部を中心に急速に拡大しています。
● グレインフリー(穀物不使用)人気
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アレルギー対策として根強い人気
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ただし、FDAが一部商品に対して「心筋症との関連性」を調査しており議論も
● フレッシュフード&冷蔵配送サービス
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NomNom、The Farmer’s Dog など、冷蔵フードをサブスクで届けるスタイルが台頭
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「まるでペット版Uber Eats」とも呼ばれる人気ぶり
● SDGs・サステナビリティ志向
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昆虫由来タンパク質やリサイクルパッケージを採用する企業が増加
▶ トレンドは「安心」「健康」「環境」重視へと急速に変化しています。
4. 安全性と品質管理の厳しさもアメリカならでは
アメリカのペットフードは、**AAFCO(米国飼料検査官協会)**という団体の基準をクリアする必要があります。
AAFCOは栄養基準やラベル表示基準など、業界内で最も権威のあるガイドラインを提供しています。
AAFCOの基準とは
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成分比率、栄養素、カロリー表示などを細かく規定
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「成長期用」「維持期用」「全年齢対応」などが明記される
さらに、FDA(米国食品医薬品局)も定期的な抜き打ち検査を実施しています。
そのため、日本以上に安全性への法的・社会的プレッシャーが強いとも言えるでしょう。
5. ペットフードと「ペットビジネス」の融合
アメリカでは、ペットフードは単体の商品ではなく、ビジネスモデル全体のコアとして扱われています。
例:AmazonやWalmartの戦略
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自社ブランドのペットフードを展開
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プライム会員に送料無料+サブスク割引
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オンライン診療サービスと連動した提案など
また、フード購入が「ペット保険」や「ペットのDNA検査」とセットになっているパターンも。
ペットのライフサイクル全体を支えるサービスの中核に「フード」があるという考え方です。
まとめ:アメリカのペットフード市場は「進化の最先端」
項目 | 特徴 |
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市場規模 | 年間500億ドル以上。世界最大 |
商品の多様性 | ドライ・ウェット・冷蔵・生食・サプリ・療法食 |
品質基準 | AAFCO・FDAの厳しい管理下 |
消費者意識 | ヒューマングレード・サステナ志向が顕著 |
トレンド | グレインフリー、サブスク、環境配慮 |
選ばれるブランドには理由がある
アメリカのペットフード市場は世界最大級ですが、その中で長年支持される定番ブランドから、近年急成長を遂げる注目ブランドまで多種多様な製品がしのぎを削っています。
このパートでは、アメリカで実際に人気が高く、日本でも購入可能な信頼できるブランドを中心に、各ブランドの特徴・安全性・おすすめ商品を解説します。
1. 【Orijen(オリジン)】栄養価と原材料へのこだわりで不動の地位
ブランド概要
カナダ生まれですが、アメリカ市場でも圧倒的な評価を得ている「Orijen(オリジン)」。
ヒューマングレードの原材料を使用し、「生物学的に適正な食事(Biologically Appropriate)」を提唱。
特徴
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高たんぱく・低炭水化物設計
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放し飼い鶏・天然魚・巣に産んだ卵など、自然素材がベース
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グレインフリー(穀物不使用)
人気商品
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オリジン オリジナル:鶏・七面鳥・魚のバランス配合
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オリジン シニア:加齢に配慮した設計
▶ 肉食寄りな栄養設計を求めるペットにぴったり!
2. 【Blue Buffalo(ブルーバッファロー)】家庭の愛が込められたヘルシーフード
ブランド概要
「家族のようなペットに、家族と同じような食事を」という創業者の思いから生まれたブランド。
ナチュラル志向でアメリカ国内でも高い市場シェアを誇る。
特徴
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コーン・小麦・大豆不使用
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本物の肉・果物・野菜を使用
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自社施設で製造し、品質管理が徹底
人気商品
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LIFE PROTECTION FORMULA:全年齢対応の総合栄養食
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BLUE Wilderness:狼の食事を再現した高たんぱくライン
▶ 大手量販店でも手に入りやすく、初心者にも人気。
3. 【Hill’s Science Diet(ヒルズ・サイエンスダイエット)】獣医推奨No.1
ブランド概要
科学的根拠に基づく栄養設計を徹底し、アメリカの獣医師による推奨No.1として知られる老舗ブランド。
特に療法食で知られる「プリスクリプション・ダイエット」シリーズが有名。
特徴
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年齢・サイズ・健康課題別に細かくライン展開
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AAFCO基準をクリアしたバランス配合
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大手動物病院で取り扱い実績あり
人気商品
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アダルトチキン&玄米:健康な成犬向け
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シニア7+ チキンレシピ:高齢犬用
▶ 獣医師との連携を重視する家庭におすすめ。
4. 【The Honest Kitchen(オネストキッチン)】“人が食べられる”原材料のみを使用
ブランド概要
「ヒューマングレード」の概念を最初に打ち出したパイオニア的存在。
100%天然素材、非加熱加工による脱水(Dehydrated)フードを展開。
特徴
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USDA認定キッチンで製造
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グレインフリー or ホールグレインが選べる
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液体を加えて戻す“手作りごはん感”
人気商品
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Whole Grain Chicken Recipe:高消化性で嗜好性も高い
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Grain-Free Turkey Recipe:穀物不使用・アレルギー対応
▶ 忙しいけど“手作りに近いもの”を与えたい人に人気!
5. 【Wellness(ウェルネス)】アメリカのプレミアムナチュラルフード代表
ブランド概要
Natural BalanceやSolid Goldと並ぶナチュラルフードの代表格。
安全・品質にこだわりながらコストパフォーマンスも重視。
特徴
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グレインフリー、アレルゲン低減素材を使用
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食材のトレーサビリティ確保
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プロバイオティクス入りで腸内ケアも
人気商品
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CORE Grain-Freeシリーズ:たんぱく質強化型
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Complete Healthシリーズ:全年齢向けベーシックライン
▶ 高品質フードの入門編にもおすすめ。
6. 【その他注目ブランドまとめ】
ブランド名 | 特徴 | こんな人におすすめ |
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Merrick | 米国テキサス州製造/新鮮肉使用 | 高たんぱく志向 |
Canidae | 獣医師設計/アレルギー配慮 | 原材料に敏感なペット |
Instinct(Nature’s Variety) | ローフード&冷凍生食が人気 | 生肉派・アレルギー対策 |
Natural Balance | 動物性単一たんぱく源で低刺激 | 食物アレルギーがある子 |
ブランド選びのポイント:安さより“長く続けられる品質”を
ペットフードは、「どれだけ食べたか」よりも「どれだけ健康的に暮らせたか」が最も大切です。
アメリカ製フードの多くは、人間レベルの品質管理や栄養設計がなされています。
フード選びで気をつけたい3つの視点
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栄養設計が科学的かどうか
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原材料の安全性(ヒューマングレード、トレーサビリティ)
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愛犬・愛猫の体調や好みに合っているか
アメリカ産ペットフードを日本で購入・活用する際の注意点と活用術
アメリカ製ペットフードの「買い方」と「使いこなし方」
アメリカ製のペットフードは、栄養バランス、安全性、素材のこだわりといった点で高く評価されています。
しかし、日本で入手する際には輸送・保存・価格・認証制度の違いなど、注意すべきポイントも多く存在します。
ここでは、アメリカ産ペットフードを日本で安心・お得に手に入れる方法と、国産フードとの違い、購入時のチェックポイントを詳しく紹介していきます。
1. 日本でアメリカ産ペットフードを買う方法:ルートと注意点
A. 購入ルート①:日本の正規代理店から購入
最も安心なのが、日本国内にある正規輸入代理店を通して購入する方法です。
この場合、日本の法律(食品衛生法・動物用飼料安全法など)に適合しており、ラベル表記も日本語で明確です。
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メリット:安全性が高く、賞味期限も明記、サポート対応あり
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デメリット:やや高価格になりがち
代表例:オリジンやアカナの日本正規輸入販売代理店(株式会社ケイエムテイなど)
B. 購入ルート②:Amazonや楽天などのECモール
大手通販サイトでは、並行輸入品や公式取り扱い製品が多数出品されています。
価格面では安く見えることもありますが、出品元の確認が必須です。
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出品者情報(業者か個人か)
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正規代理店ルートか並行輸入か
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消費期限が短くないか
C. 購入ルート③:個人輸入や海外通販サイト(Chewy、Petcoなど)
英語が堪能で、海外発送を受けられる方はChewyやPetcoなどの通販サイトから直接購入も可能です。
ただし、関税・送料が高額になる場合があり、通関に時間がかかることも。
2. アメリカ製と国産ペットフードの違いとは?
アメリカ産と日本産では、フードに対する哲学や基準に違いがあります。以下の表にまとめました。
比較項目 | アメリカ産フード | 国産フード |
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栄養設計 | AAFCO基準に基づく総合栄養食が主流 | AAFCO準拠だが独自成分設計も多い |
原材料 | 動物性たんぱく中心(肉・魚の含有量が高い) | 米・大豆など植物性主体が多め |
保存料 | 合成保存料不使用が多い(天然保存料) | 合成添加物を使用する製品も |
コスト感 | やや高め(高品質重視) | 手ごろで継続しやすい価格帯も多い |
安全性認証 | USDA/FDA認証済みが多い | 日本の農水省・食品衛生法に準拠 |
アメリカ製は**「ペット=家族」という考え方が徹底**しているため、ヒューマングレード食材や無添加方針のブランドが多く、日本の消費者からも高評価を得ています。
3. アメリカ製ペットフードを購入する際のチェックリスト
購入前に、以下の点を必ず確認しましょう:
✅ 原材料表示が明確であること(チキンミール/副産物ではなく生肉ベースなど)
✅ 賞味期限が十分にあること
✅ 日本語の成分表記・給餌量が明記されているか
✅ グレインフリーが必要か否か(犬・猫の体質により異なる)
✅ アレルギー・添加物の有無を要確認
✅ 評判やレビューがしっかりしているか(Amazonレビューを鵜呑みにしない)
4. コスパよく使うには?お得な購入タイミングと保存方法
● セール時期を狙う
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ブラックフライデー(11月下旬)
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アマゾンプライムデー(7月)
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楽天スーパーセール(月1〜2回)
セール時に大容量パックをまとめ買いし、小分け冷凍や密閉保存で劣化を防ぎましょう。
● 保存方法にもこだわる
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開封後は密閉容器に移し替え
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冷暗所保存
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大袋は小分けにしてジップロック+脱酸素剤
5. 獣医師の声:アメリカ製フードの活用法と注意点
獣医師の多くは「フード選びはその子の体質や健康状態に応じて」と強調しています。
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消化器が弱い犬・猫は国産低脂肪フードの方が合うこともある
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高たんぱく・グレインフリーが必ずしも「正解」ではない
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定期的な体重・被毛・便のチェックが重要
▶ ペットの成長・変化に合わせて、ライフステージごとにフードを変えることが理想的です。
まとめ:アメリカ製ペットフードは「知識を持って賢く選ぶ」がカギ
アメリカ製のペットフードは、品質や理念の面で非常に優れた製品が多く、日本国内でも根強い人気を誇ります。
ただし、輸送コストや保存面の課題もあるため、しっかり情報収集して「愛犬・愛猫に本当に合うフード」を選ぶ姿勢が大切です。
次にあなたがすべきアクションは?
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まずは小容量サイズから試してみる
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ペットの体調や好みの変化を記録する
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正規輸入代理店や信頼できるECサイトを利用する